ベストアルバム『O₂ 〜太陽盤〜』『O₂ 〜月盤〜』リリースに向けて、今作に込めた想いやエピソードを、メンバーにロングインタビュー。

オフィシャルインタビュー【前編】【後編】【番外編】として順次公開いたします。

 

本日は【後編】を公開!どうぞご覧ください。

 

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◆タイトル

新曲「月祭」はお客さんの顔をイメージして作った

 

 

初のベストアルバム『O₂ 〜太陽盤〜』 『O₂ 〜月盤〜』を2タイトル同時リリースしたGOOD ON THE REEL。

 結成15周年を迎えた彼らにロングインタビューを行った。

前後編でお送りする後編は『O₂ 〜太陽盤〜』に収録された「SUNRISE」(MBS/TBSドラマイズム「トーキョー製麺所」オープニング 主題歌)と『O₂ 〜月盤〜』に収められた「月祭」という、2曲の新曲について掘りさげていこう。

 宇佐美本格MV監督デビュー、ギター2人のいきなりインプロ一発録りなど、初チャレンジネタも豊富な新曲2曲。「SUNRISE」は、グランジやブラックロックを思わせる骨太なロックチューン。シャウトする千野の歌声も聴き所である。対して「月祭」は、ピュアなメロディーが映える鮮やかなポップチューンで、後半で見せるシンガロングやクラップを彷彿させるアプローチにGOOD ON THE REELの今の想いを感じる1曲でもある。

 両曲ともアップチューンながら、見事なコントラストを見せる楽曲のレンジは、このバンドの底力だろう。

 

 

最後にこの記事を読んでくれた皆さんにお願いを。

彼らが言った音楽用語をそのまま使い、たくさん残しました。わからない言葉が出てきたら検索してみてください。彼らのサウンドがGOOD(ぐっと)身近になる気がします。

 

 

――『O₂ 〜太陽盤〜』 に収録されている新曲「SUNRISE」についてお伺いします。

 

千野隆尋(Vo/以下、千野) これはドラマの主題歌の話をいただいて、ドラマの制作スタッフから、リクエストがあったので、そのリクエストに沿って、3人(千野、伊丸岡、岡﨑で曲を出し合ったんですね。言葉ってひとつのイメージを伝えるのでも、いろんな解釈があるじゃないですか。個人によって、伝わり方が違う。だからいろんなバリエーションの曲が出たんですよね。

 

岡﨑広平(Gt/以下、岡﨑) それこそ、いろんなバージョン含めたら9曲くらい出たんだっけ?

伊丸岡亮太(Gt/以下、伊丸岡)そうだね。それぞれ3曲ずつで、合計9曲かな。

 

千野 僕らが曲を作るのと同時に、ドラマの制作もスタートしていって。そういう中で、先方もよりイメージが具体的になってきて。そこのイメージをすり合わせて、曲を直したりしながら、作っていったんですよね。

 

――「SUNRISE」はアップチューンですが、アップチューンにしたのは、ドラマスタッフ側からのリクエスト?

 

伊丸岡 そうですね。踊れる曲っていうリクエストを。

 

宇佐美友啓(Ba/以下、宇佐美)踊れる曲っていっても……本当、いろいろあるんですよね。

 

千野 テクノっぽいのもあれば、お祭りっぽいのもある。踊れるってだけだったら、もっともっとある(笑)。

 

――テーマとしては、広すぎますよね、踊れる曲っていうのは。

 

千野 また言葉の解釈の違いの話になっちゃうんですけど、その踊れる曲に対する解釈、伝わり方が、ドラマ制作側がイメージしていたものと、違っていたんですね。

 

伊丸岡 ドラマ制作スタッフのイメージは、ゴリゴリのロックチューンだったんですよね。

 

千野 ドラマのオープニングで曲に合わせて出演者が踊るっていうのは、最初から決まっていたみたいなんですけど、それが男性が真顔で踊ってるっていうシチュエーションをイメージしていたみたいなんですよね。

――うわ、それは…なかなか伝わりにくいですね(笑)。シュールすぎますからね。なかなか断片的な言葉では想像出来ない。

 

千野 そうだったんですよね。そのすり合わせにちょっと時間がかかりましたけど、9曲出した中に、ゴリゴリのロックがあったので、その曲を仕上げていったんですね。

 

――なるほど。これはバンドサウンド全般に言えることだと思うのですが、ロック感を出すのに、最もわかりやすいアプローチって、ギターの音色やフレーズだと思うんですよね。伊丸岡さんと岡﨑さんは、どういう味付けをしていったんですか?

伊丸岡 僕は王道っちゃ王道。オーバードライブサウンドで、パワーコードのリフをずっと弾いているんです。そこが結構、渋いロックみたいな感じを出していると思う。

 

千野 パワーコードで押し切った感あったよね(笑)。

 

岡﨑 僕のギターサウンドに関しては、無骨な感じをイメージして。特に変なことしなくていいだろうという感じで、グランジっぽく音を歪ませて、ミッドを出すっていうのを意識しましたね。今回、チャレンジしたことがあるんですよ。間奏の部分、2人で同時に弾いて一発録りいこうぜ、と。

 

伊丸岡 好きな感じで弾いてみてって感じだったからね。

 

――つまり、2人でインプロビゼーションして、それを一発録り?

 

伊丸岡 そうです。フレーズも何も決まってない中、2人で目を合わせながら雰囲気で合わせて弾いた。面白かったですね。

 

岡﨑 それを3テイクくらいとって、面白いフィーリングが出たのを採用しようかっていう。今までそこういうこと、やってこなかったんですよね。結構、苦手だったというか。

 

千野 歌詞でいうと<♪SUNRISE… バンザイ…>の後だよね。

 

伊丸岡 そこだけ異空間(笑)。

 

千野 「SUNRISE」は僕が作った曲なんですけど、元々は、その異空間(笑)はなかったんですよ。僕の中では、<♪SUNRISE……>って、伸ばすところの後半から間奏ってイメージで、一旦静かになって、またバンッて跳ねあがるような構成をイメージしてたんです。そしたら、そこに自由な部分あってもいいんじゃない?って話が出て来て、足された感じ。ギターソロって名目で、全然ギターソロじゃない異空間が出来上がったんです。それから、イントロのリードギターのフレーズが、僕がデモで弾いたのをそのまま使ってくれているんです。これは珍しい!

 

伊丸岡 あのフレーズ、デモのまんまだからね(笑)。

 

千野 あれはびっくりしたー。(←嬉しそう)

 

――踊れる曲=ダンスミュージックとするならば、リズムもひとつの肝になりますよね。「SUNRISE」は高橋さんのドラムから始まる曲ですよね。

 

高橋誠(Dr/以下、高橋)あの最初のドラムは、千野ちゃんのデモを元に、アレンジャーの伊藤さんが作って来てくれたんですよね。音色は、デモの感じがいいって話だったから、そこに近づくように、テックのスタッフといろいろ相談しながら決めた感じです。

 

――ではもう1曲の新曲。『O₂ 〜月盤〜』の「月祭」について。読み方は「つきまつり」でいいんでしょうか?

 

千野 そうですね。この曲は1番の詞が先にあって、それに亮太が曲をつけたんです。

 

伊丸岡 元々、僕たちの15周年の曲として作っていた曲だったので、千野ちゃんの歌詞にも、まさに十五夜とか、15周年に関わるような要素が盛り込まれてたんですよね。

 

――ちょっとお祝い感がある曲調だと思いました。

 

伊丸岡 そうですね。

 

千野 そうです。

 

――歌詞のテーマは?

 

千野 結構広くて……人類をテーマにしてます。人類ってすごいな(笑)。

 

――そうなんですね。歌詞の中に<下手くそなギターを静かにならす>ってあるから、このバンドの歴史に重ねて、なにかを歌ってるんだと思ってしまいました。

 

千野 そこは身近なことをBメロに落とし込むことによって、身近さを感じさせるっていう作詞の技法なんですよね。Aメロに関しては誰かわからない、でもBメロで僕は下手くそなギターを鳴らしてますよ、と。で、2番は、君とかっていう、1人に絞ることで身近にしようという……狙いというか……うん、やっぱ技法です。

 

――なんでBメロに身近なことをもってきたの?

 

千野 Aメロの最後に持ってきても良かったんですけど、何かをしてる人たち……何かをしてる夜っていうのを貫きたかったんですよね。だからBメロも、他の人と同じように、自分は何をしてるかとか、君は何をしてるかとか……そこを揃えたんですよね。Aメロは、いろんな夜を書いているだけいろんな夜紹介をしているだけで、あまり意味はないんです。自分の中ではサビで意味が出てくるというか、その何でもないような夜を照らし出す……月がスポットライトの変わりじゃないけど、それぞれを盛大に祝おう、生きてる夜を、何でもない夜でも、祝おう、と。

 

――<なんでもないこの夜を>ってフレーズ、いいですよね。

 

伊丸岡 そこが肝ですね。

 

千野 そこからサビですごく広げるっていう。歌詞としてレンジが広い曲なんですよね。

 

――タイトル「月祭」は?いい言葉ですよね。するっと出て来ました?

 

千野 ぜんっぜん、出てこなかったです。仮タイトルを「十五夜」にしてたんですよ。だからもう「十五夜」にしか思えなくなってしまって。

 

伊丸岡 全員、「十五夜」が頭から離れなくて。

 

千野 でも「十五夜」にしたくなかったんですよ。「十五夜」ってつけたら、その日のみになっちゃうし、たくさんの1人1人の夜を照らし出す曲にしたかったから。聴いた人、1人1人を盛大に祝う曲にしたかったので、「十五夜」だと15人の夜みたいな感じになっちゃうと思ったんですよね。数に限りがある数字が嫌だった。だからどうしても変えたくて。祝賀祭みたいな曲だし、いろんなタイトル候補を出して、それでも決まらなかったから、メンバーに相談したんですよ。それで、1番票が多かったのが「月祭」だったんです。

 

――なるほど。票はわれました?わりと、まとまりました?

 

千野 われましたね。基本的にわれるんですよ。われたら、じゃあ上位1、2でまたちょっと考えよう、みたいな感じでしたね。

 

――そういう投票制っていうのは、このバンドでよくあるの?

 

伊丸岡 最近ですね。

千野 最近、そうかな。選曲だったりとかではあるよね。あとは、僕が悩んで……この言葉、どれがいい?みたいに相談すると、必ずと言っていいほど、ばらける。意味ねぇな、これって思う(笑)。

 

――はははははは(笑)。でも、顔は楽しそうですね。

 

千野 いや(笑)……結構(票が)われちゃうから、よし、自分で決めるしかないかと思ったりします(笑)。

 

宇佐美 候補が多いんですよね。「月祭」も最初はそうだった。

 

高橋 結構あったよね。

 

伊丸岡 確か、10個くらいはあったと思う。

 

宇佐美 そう。さすがにそうなると、票も割れますよ(笑)。

 

――10個?タイトル曲候補の単語が?すごいですね、それ。千野さんからは、いつも普通に10個とか候補が出てくるの?

 

伊丸岡 普通に出てきますね。

 

千野 いや、普通じゃないよ!(笑)アルバムタイトルとかはね、それぐらい出すけど。でも本当、メンバーにどう?って相談するようになったのは、最近なんですよね。

 

伊丸岡 前は全部自分で決めてたからね。

 

千野 そう、するっと出て来たから自分で決めてたんですよね。でももうねぇ……何も出てこない(笑)。

 

――何も出てこない……って印象は受けませんが、調子がいいとき、悪いときはあるかもしれないですよね。

 

千野 「月祭」ってタイトルに「月」を入れたのは「十五夜のうさぎ、何見て跳ねる?」って15周年のキャッチコピーもそうですけど、お月見的な、うさぎを連想させたかったから。あとは祝い感、お祭り。この曲って、リズムからしてお祭りじゃないですか、その雰囲気を言葉にしたかったんですね。あとは『O₂ 〜太陽盤〜』 に入れた新曲の「SUNRISE」には、タイトルにSUN=太陽が入ってる。だから『O₂ 〜月盤〜』に入れる新曲にも「月」って言葉を入れたかったんです。

 

――「月祭」には、後半、お客さんと一緒に、シンガロング出来るアレンジもありますよね。

 

伊丸岡 そうですね。今は正直言って、一緒に歌おうっていうのは、まだまだ難しいとは思うんです。でも、完全にシンガロングを意識して作りましたね。

 

――「月祭」を聴いて、今だからこそ、一緒に歌える曲、シンガロング出来る新曲って必用なのかなと思ったんですね。ちょっと大げさになるかもしれないけど、シンガロングというアクションを想像させること自体が、観客にとって未来につながるんじゃないだろうか、と。

 

伊丸岡 そこまでは……正直、考えてなかったです。ただ、今は一緒に歌えない、たぶん、一緒に歌えるようになるにはまだ時間がかかる、だから心の中で歌って欲しいって思いを込めて、シンガロングを入れたんですよね。それに<♪ららら……>とも歌っているけど<手を叩こう>とも歌ってるから。クラップもあれば、シンガロングもある、どっちも出来るような曲にしたかったんです。

 

――どんな状況でも、ライブでお客さんに、楽しんでもらえるように。

 

伊丸岡 そうですね。「月祭」は、お客さんの顔をイメージして作った曲ですから。

 

 

――わかりました。宇佐美さんが本格的に監督デビューした「SUNRISE」のMVについては、次回の番外編で伺いますね。

 

 

 

取材・文:伊藤亜希